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救わとは?
経産省の発表した、所謂「ビンテージ救済」措置に当惑している風で、僕の意見を、と求められたので、これはJSPAの提出する請願書名に先手を打って無力化することと、民主党内の議員立法に向けた動きをつぶすためのものでしかないですよ、ということを伝えた。
民主党経済産業部門会議に迎審議官以下、四名の経産省官僚が「救済措置」を手みやげにやってきて、それを受けて、民主党の若林秀樹NC大臣は用意していた議員立法は取り下げる、という方針を発表。そのいきさつは、川内博史議員のBLOGに詳しい。
さらに、経済産業部門会議では民主党の政策調査会幹部から、「法律の施行に合わせて、まじめに準備してきた人達を大事にしなければならない。今になって、知らなかったなんて、言い訳は通用しない。法律を知らずに怠けていた人を救うのが政治ではない」という経産省の役人ですら言うのをはばかるであろう(彼らは周知の不足は認めているわけだから)、全国数十万の中古販売業者をわざわざ敵に回すような発言まであったそうだ。
川内さんはさすがにその議員の名前まで出していないが、民主党の政策調査会幹部の誰か? 政調会長の松本剛明議員は防衛畑だしな。経産省に近い人間といったら、順に調べていけば、すぐに分かるね。
果たして、それで音楽家は救われたのか? とんでもない。JSPAだって納得は行っていないはず。まして、若林秀樹議員のように、ギリギリの判断(経産省の)などと評価できるものでは到底ない。
が、旧法(電気用品取締法)に基づく表示など、ビンテージと呼ばれる海外製品にはないものの方が多い。僕のスタジオを見回してみても、ムーグやシーケンシャルのシンセ、ウーリッツァーのエレピ、フェンダーの古いギター・アンプにもついていない。いやいや、NEVEのミキサー、マイクプリ、コンプ、その他、ほとんどの録音機材が表示なしだ。あの手この手で集めたもので、ほとんどが海外から一点ものとして運ばれてきたリアル・ヴィンテージなんだから当然だ。
じゃあ、旧法表示のある国産品だったら中古販売できるのか?というと、経産省が希少価値が高いと認めねば駄目なのだ。彼らはどうやって希少価値を判断するのだろう? 生産終了していて、代替品がない状態、イコール希少価値がある、ということなら良いが、わざわざ、「かつ」と書いているのだから、希少価値というのは別に判断するのだ。ヤフオクにもふたつみっつ出てるから駄目、とか、1年間出てないから希少とか、判断してくれるんだったら笑うな。
そして、一番のポイントはここだ。その特別承認はどうやら取引毎に行われねばならない、ということだ。なぜなら、買い手が「当該電気用品の取扱いに慣れた者」である場合でないと、承認されないのだから。
「当該電気用品」というのが、その一機種を特定しているのだとしたら、すでにムーグのシンセを持っている人間、使った経験がある人間はムーグが買えるが、ヤマハやローランドしか使ったことのない人間が夢のビンテージ・ムーグを買う、というのは認められないわけだ。
ともあれ、取引毎の特別承認が必要ということは、それがローランドTR-808やヤマハDX7であっても、その特定機種を国産ビンテージと経産省が認めて、どこの店でも中古売買可能となるのではないのだ。このビンテージ機器をこの者に売っても良いか、というのを売買契約成立前に特別承認申請して、大臣の承認を得なければならない、ということだろう。
考えてみれば、経産省がこれはビンテージと認めます、という機種リストを発表するはずはないのだから、当然といえば当然。またまた、親切に個別対応するということですね。
そんな特別承認を受けて中古楽器の売買が行われるということがあるだろうか? 何百、何千万もするスタジオ・コンソールならともかく、十万円台までの普通の楽器や音響機器では、まずありえないだろう。だったら、自主検査でPSEマーク貼った方が手っ取り早いとなるはず。あるいは、オークションなどでの個人売買に流すか。
僕はこれまで、ビンテージ楽器が買えなくなる、といった問題よりも、これは中古家電一般の問題であるということを重ねて書いてきた。最も影響を被るのはリサイクル業者、業務機器を保持せねばならない中小企業、中古家電に頼ってきた経済的弱者などだということ。そして、これは環境問題でもあること。憲法で保証された財産権すら脅かす問題であること。そうした認識には今も変わりない。