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アルコールとは?
化学においてのアルコール (alcohol) とは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基で置き換えた物質の総称である。ベンゼン環の水素原子を置換したものはフェノールと呼ばれ、アルコールと区別される。
アルコール類は、生体内での主要代謝物の1つであり、生物体に多種多様なアルコール体が広く見いだされる。特に酵母は、その代謝によりエタノールを産生するほか、少量であるが多種多様のアルコール類も産生し、酒の香味成分として利用されている。
ヒドロキシル基が結合している炭素原子が結合する炭素原子の数で第一級、第二級、第三級という区別がある。酸化すると第一級アルコールはアルデヒドとなり、第二級アルコールはケトンとなる。第三級アルコールは酸化されにくい。なお、メタノールは炭素原子どうしの結合を持たないが、酸化してホルムアルデヒドとなるので、一般に第一級アルコールに含まれる。
それとは別に、炭素数が少ないアルコールを低級アルコール、炭素数が多いアルコールを高級アルコールという。低級アルコールは無色の液体であり、高級アルコールは蝋状の固体である。
結合しているヒドロキシ基の数がn個であるアルコールを、n価アルコールという。そのうち、ヒドロキシ基が隣り合って存在するアルコールをグリコールと呼ぶ。グリコールは、一般に粘性が高いという性質を持っている。
アルコール (alcohol) の語源については正確な起源が判明しているわけではないものの、"al-" がアラビア語の定冠詞であることから、アラビア語に由来すると考えられている。そもそも、12世紀にイスラム社会の錬金術の発見を大衆向けに翻訳した数々のヨーロッパの翻訳者によって、アルコールは蒸留技法とともにその蒸留物のこととしてヨーロッパに紹介された。
科学あるいは産業の領域で、アルコールは試薬、溶媒そして燃料として広く使用されている。最先端技術の領域では、ガソリン、あるいは有害な排気ガスを発生させる炭化水素の代換品として、よりクリーンに燃焼するエタノールやメタノールを使用する技術が確立された。また低い毒性と非極性物質を溶解させる性質により、エタノールは医薬品、香水、バニラのような植物エッセンスの溶媒としてしばしば使用される。
多くのアルコールが、イースト菌を使って果実や穀物を発酵させて得ることができる。これらのうち、エタノールだけが発酵法で商業的に生産され、燃料や飲料の用途向けに用いられている。他のアルコールは、天然ガス、石油あるいは石炭の副産物から工業的に生産されている。直鎖で炭素が偶数個の高級アルコールは、油脂を加水分解して得られる脂肪酸を還元することで製造される。最も単純なアルコールであるメタノールは、触媒の存在下に一酸化炭素を水素で還元すると得られる。
アルコールのヒドロキシ基が親水性を持つ一方で、アルコールの炭化水素基は疎水性をもつ。エタノール、メタノール、プロパノールなどの分子量の小さいアルコールでは、ヒドロキシ基が支配的であるため、極性溶媒・非極性溶媒に対して無制限に溶けるが、一方、ブタノールでは水にほどほど溶解し、ペンタノールでは水から遊離するようになる。
第一級アルコールは、エポキシドとグリニャール試薬を反応させて酸で処理するか、ホルムアルデヒドとグリニャール試薬を反応させて酸で処理すると得られる。第二級アルコールは、アルデヒドとグリニャール試薬を反応させて酸で処理すると得られる。第三級アルコールは、ケトンとグリニャール試薬を反応させて酸で処理することで得られる。
アルコールの反応で最も重要なものは、ヒドロキシ基が他の基に置換される求核置換反応である。実際にアルコールをハロゲン化水素酸(たとえば濃塩酸)と反応させると、ハロゲン化アルカンを得ることができる(ただし求核性の低いフッ素を除く)。あるいは、ハロゲン化リンやハロゲン化チオニルと反応させてもハロゲン化アルカンが得られる。求核置換反応は、求核性の強いクロロ基(あるいはハロゲノ基)の方に平衡が傾く。しかし、条件を変えアルカリ性条件下にすると、ハロゲン化アルカンはアルコールのほうへ平衡が戻る。これが工業的に合成アルコールを製造する1つの方法になっている。